「私たちは主イエス・キリストの現れを待ち望んでいる。」
(コリント1・3-9)
大海 明敏 神父
待降節になるといつもあるお話しを思い出します。それは、ある金持ちの人生を変えた夜の出来事です。ある日、金持ちが高価なマントに身を包み、馬に乗って出かけていました。途中、一人のケガ人が痛みや寒さの中で震えているのを見て声をかけました。このケガ人は強盗にあった旅人のようで、貧しくて帰る家もなく病気や寒さに耐えているように見えます。通行人達はみな見て見ぬ振りで冷たく通り過ぎます。金持ちはそれを見て馬を降り、着ていた高価なマントを半分に裂いてその人に与えました。
その夜、夢の中で、光輝く真っ白な服を着た人が彼のマントの半分を手に持って、彼に優しく微笑みながら「助けくれてありがとう、心暖かい贈り物をありがとう」と言いました。自分のマントとその真っ白な服を着ている人を見て驚きました。その人はイエスと名乗り、微笑みながら去って行きました。金持ちはびっくりして飛び起きました。そして、自分が助けたケガ人の顔と夢に出てきた人の顔が、よく似ている事に気づきました。金持ちはなぜマントの半分ではなく、マントをそのまま全部あのケガ人に与えなかったのかと後悔しました。
現在、神の力によって、私たちの中に神の子が宿っています。そして今も働いておられる神の愛を私たちが迎え入れるように祈ってくださいます。イエスの誕生物語こそ、よみがえられたイエスが私たちのうちに宿ってくださったという信仰者の喜び、働いてくださった神への賛美です。 一年が過ぎ去ろうとする時です。過去を振り返って私たちは兄弟姉妹の為に何か出来ましたか、兄弟姉妹を通して神様が見えましたか、と祈りましょう。